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「開発コンサルタントになるためには?」実務の現場で会った方々から聞いた話

最近、海外で国際支援、開発援助の仕事をしたい、開発コンサルタント会社に就職したい、という大学生によく相談をもちかけられます。

私自身は開発コンサルティング企業での勤務経験はありませんが、アフリカ専門のビジネスコンサルタントとして仕事する中で、開発コンサルタント企業の社員の方に実際に会い、話を聞く機会がよくあります。

また、青年海外協力隊としてアフリカ各国に赴任されていた方と先日お会いし、開発コンサルタント企業に就職された方々から話を聞く機会も増えました。

開発コンサルタント当事者でない立場で、実際に会った方々から聞いた情報を元に、「開発コンサルタント」について、ご紹介したいと思います。

開発コンサルタントとは

開発コンサルタントとは、主に新興国で、開発援助や経済・貧困対策、インフラ施設や、教育、保険・医療などの分野で、政府やJICA、日本企業などから依頼を受けて仕事をする職業の方を指します。

私が今までに関わった開発コンサルタントの方々は、JICAなどの政府機関から業務を請負った企業から依頼を受け、新興国で企業の社員の方々と一緒に仕事をされている方が多いです。

具体例を紹介すると、JICAが年に2回公募する「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に対し、応募を希望する企業と一緒にビジネスモデルの企画資料を作成、申請手続きを行います。JICAに採択された場合は、調査内容や調査方法をJICA職員と打ち合わせした上で、企業の方々と一緒に現地での調査活動を行い、報告書類にまとめ、経費清算の処理まで担当しています。

申請書類の作成は、企業の事業実績を元にしたビジネスモデルが現地の課題解決に合致するよう、全体の構成を考えるスキルや経験が求められます。

採択されなければ仕事が始まらないため、企業の期待を一心に背負う責任の重い仕事です。

開発コンサルタントになるために必要なことは?

実際に知り合った開発コンサルタントの方々の経歴を聞くと、元青年海外協力隊経験者が多かったです。

ケニアやザンビアで数年間の任期を経験した人材は、開発コンサル業務を行う上で非常に強みになります。

新興国に行き、現地のパートナーと一緒にプロジェクトを企画し、現場で動しながら、日々発生する想定外の問題や課題を解決することは、経験がないと難しいと思います。

また、開発コンサルタント企業の求人募集を見ても経験者、中途採用の案件が多いです。一般的な海外留学経験や短期のボランティア経験だけではなかなか採用され難い、と聞きます。

まずは海外での国際支援や開発業務の実務経験を積むために、青年海外協力隊の道を検討されることをお勧めします。

開発コンサルタントは新卒でもなれる?

開発コンサルタント企業は1000名の社員が在籍する大企業から、10名前後の小規模コンサルまで幅広くあります。

一般的に、新卒募集は少なく、狭き門です。特に大多数を占める中小規模の開発コンサルタント企業は即戦力が欲しいため、経験者が優遇される傾向があります。

開発コンサルタントの仕事内容から考えても、仕事を依頼する企業やJICA職員よりも、何か優れた専門性や経験、スキルをもっていなければ仕事ができない厳しい世界です。

新卒で開発コンサルタント企業に就職したい場合、在学中に新興国でのボランティア活動をしたり、NPO、NGO に参加し活動する経験を積むことで、入社面接の際に評価されることがあるかもしれません。

在学中の時間をどう過ごすかが重要で、学生時代の経験が開発コンサルタントの仕事にどう結びつくかを考えながら行動することで、新卒での就職の可能性も見えてくると思います。

また、時代によって求められる専門性や分野などが変わるため、日本政府やJICAがどんな分野に注力しているか、今後どの分野を拡大する傾向があるかなど、情報収集することも大切です。

新規分野の知識や経験を学生時代に身につけておけば、既存社員の不足した人材を新卒で補うこともあるかもしれません。

開発コンサルタントの年収は?

開発コンサルタントの年収に関して、私は勤務経験が無いため正確な情報はありませんが、一般的な会社員の年収より少し低めかな、という印象です。

ただし、海外出張などで手当が支給されることが多いため、海外出張があれ合計の年収は高くなると想像できます。

もし正確な年収を知りたい場合は、実際に開発コンサルタント企業に勤務している方、OB・OGの方に聞いてみることが一番早く正確だと思います。

開発コンサルタントになるには英語力が必要?

開発コンサルタントの仕事の現場は、日本以外の国を対象にしています。海外の現場に行き、現地の人と一緒に調査活動などをすることになりますので、当然英語などの外国語力が必要になります。

日々のミーティングや現状の報告、情報の共有などでは英会話力が求められ、法律や規制、書類を確認するための英語読解力、文書作成力や、会議の議事録を作成する、ライティング力など、基礎的な外国語のスキルが必要となります。

特に若いスタッフに任される仕事として、ミーティングの議事録を取るといった仕事が多々ありますので、事前に慣れておくと現場で急に依頼されてもすぐに対応できるので、良いかと思います。

もし学生時代に時間があるようであれば、 TOEIC やTOEFLのスコアをあげるだけではなく、上記のスキルも総合的に身につけておくことをお勧めします。

もし英語以外の言語、例えばフランス語やスペイン語、ポルトガル語などのスキルがあれば、英語の環境よりもグッと競争率が下がりますので、チャンスが広がります。

ただし、フランス語が堪能な知り合いの開発コンサルタント社員から聞いた話では、フランス語圏である西アフリカの案件ばかり集中し、活躍する地域が偏ってしまうようです。

開発コンサルタントのやりがいは?

開発コンサルタントの方に仕事のやりがいについて聞くと、みなさん、新興国の人たちの役に立つ仕事をしている、世界に貢献する仕事ができることにやりがいを感じていらっしゃいます。

日本のオフィスでデスクに座り、遅くまで仕事をする環境とは違い、日本から遠く離れた外国で、現地の人たちと一緒に仕事をするのは大変な仕事です。

外国の方たちと日々一緒に仕事をするためにはコミュニケーションが大切であり、想定していたことが全く進まなかったり、想定外の問題が頻発することが日常です。

それをストレスと感じるか、面白くやりがいがある仕事と感じるかが、開発コンサルタントに向いているかどうかの違いだと思います。

年収や企業のブランドに価値を見出さずに、現地での仕事や活動に価値を感じる方、やりがいを感じる方が開発コンサルタントに向いていると思います。

さいごに

新卒を募集している開発コンサルタント企業は少なく、経験者が優遇される業界のため、青年海外協力などで実務経験を積むことが、開発コンサルタントになるための最短の道である。

しかし、学生時代に、国際援助の団体に加盟しながら経験を積み、英語などのスキルを向上させることができれば、新卒でも開発コンサルタントとして就職できる可能性はある。

自分の興味のある分野を早く見つけ、自分の専門性は何だろうと意識しながら、学生生活の限られた時間の中で、小さくても着実に活動実績を積み重ねることで、開発コンサルタントになる夢が実現できるだろう。

執筆者プロフィール

有吉徹
有吉徹
1973年山口県下関市生まれ。学生時代から海外を旅行し、現在まで37カ国へ渡航。特にアフリカでは12カ国でビジネス経験。現在は、国内企業向けに、アフリカビジネスのコンサルティングを行うとともに、海外営業者向けのセミナーを主催。★経歴・実績の詳細は>>

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